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弁護士で東京都江戸川区副区長の船崎まみさん

 フジテレビや兵庫県などの「第三者委員会」に注目が集まっている。日本弁護士連合会では、主に企業を対象としたガイドラインとは別に、自治体のための指針も作っている。自治体の第三者委ならではの違いや難しさは、どこにあるのか。日弁連の指針に詳しく、東京都江戸川区で副区長も務める弁護士の船崎まみさんに聞いた。

自治体に求められる覚悟

 日本弁護士連合会は、主に企業不祥事を念頭に置いた第三者委員会の設置ガイドラインを2010年に作っただけでなく、21年には自治体向けの第三者委員会の設置ガイドラインも策定しています。公共性が高く、法の枠組みも異なる自治体には、企業と異なる配慮が必要と考えられるためです。

 行政活動は全て法律に基づいて行わなければならないという法治主義の下、自治体の場合、組織にも公務員個人にも明確な法令順守義務があり、公益のために勤務する義務を負う公務員には高い職業倫理が求められます。自治体が不祥事を厳しく律することは法の要請するところなのです。また一般的に、企業の場合、取引先や株主、スポンサーなどのステークホルダーに対する説明責任を社会的責任と捉えますが、自治体の場合、住民が最大のステークホルダーであり、説明責任を全うし、行政の公正性、透明性を高めることも法の要請です。

 その一方で、企業と比べると、調査を進める上での課題もあります。

 一つは、報酬の問題です。上…

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